INSPIRATIONS

小さい頃の記憶は、いつでも木々に囲まれていた。

その中を、家族、愛犬や馬と歩いているのである。

初めて彫刻を作りたいと思ったとき、木で彫りたいと思った。

そこに理由はなかった。ただ、木が良かった。

大学に入り様々な素材で馬をつくったものの、やはり木が一番自分の性に合うようだ。

刃物を研ぐ時も鋸を使う時も、どの時間もワクワクする。

学部では、香りの良いクスノキを使って制作していた。大学院からはヒノキやカヤを使った。

クスノキもヒノキもカヤも、古くから日本の仏像に使われていた木だと知ったのは、仏像修復を学んでからだった。